今回ご紹介する本は、
『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』
です。
この本を読むと、
「東洋哲学」についてマンガを読んでいるかのように楽しく理解することができます。
哲学に興味あってもなかなか手を出しにくいと感じている方にはピッタリの東洋哲学入門書といってもいいと思います。
◎こんな人にオススメ
・ブッダって聞いたことあるけど、よく分からない。
・そもそも東洋哲学ってなんのこと?
・人生に生きづらさを感じている
という方はぜひ本書を手に取って読んでいただきたいです。
『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』
タイトル:『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』
著者:しんめいP 監修:鎌田東二
出版社:サンクチュアリ出版
『要約』

本書では東洋哲学について6つ紹介されています。
インド編としてブッダの哲学『無我』、龍樹の哲学『空』
中国編として老子と荘子の哲学『道』、達磨の哲学『禅』
日本編として親鸞の哲学『他力』、空海の哲学『密教』。
この記事では抜粋して中国編の2つを要約していきます。
ほかの哲学も気になる方はぜひ実際に本を読んでみてください。
ブッダの哲学『無我』
ブッダとは実在したインド人で、自分とはなにかを追い求めて出家し自分探しの旅に出て修行をしていたそうです。
そこでブッダがたどり着いた哲学が『無我』です。
「自分探し」の旅に出て、修行をして、出た結論が【これが自分だと言えるものは、ない】ということ。
この世界は全部つながっていて、常に変化し続けているので固定された変わらない「自分」というものはないということなんです。
でも自分がないとはどういうことなんでしょうか?
たとえば、本書ではチキンを食べることを例にあげています。

・自分の体は食べ物からできている
・チキンを食べるということは自分の体の一部はチキンでできている
・チキンは鳥なので虫などのエサを食べている
・その虫も草などを食べている
・草も水や太陽の光で育っている
つまり元をたどれば自分の体は自分以外のもので構成されていて世界中のものと入れ替わりながら存在しているということ。
ということは「これが自分!」といえるものが存在しない、これが「無我」。
自分がないのに自分を探したり、自分を作ろうとするから人生が苦しくなる。
だから結論、自分を捨てましょう。そうするとラクですよ。というのがブッダの「無我」という哲学です。
ブッダの『無我』・・・世界は全部つながっていて「自分」は存在しないので自分を捨てましょう。
龍樹の哲学『空』
次に紹介するのは龍樹(りゅうじゅ)です。龍樹も実在したインド人のようです。
ブッダが死んでから約700年後、様々な人が【無我】について考え、その教えを本にまとめました。
しかし、まとめたら200巻になってしまったのです。
仏教は複雑すぎて一般の人には届かないような難しいものになってしまいました。
そこでその200巻の複雑な【無我】という教えを一文字にまとめたのが龍樹です。
そしてその一文字というのが、『空』(くう)です。
では『空』とはどういうことなんでしょうか?
この世界はすべて『空』である。
この世界は「幻」つまり「フィクション」であると本書では書かれています。
たとえば、コップがあるとします。

陶芸をイメージしてほしいのですが、このコップは土だったものを水と混ぜてこねることで形になり、焼いて仕上げることで「コップ」というモノになります。

これは「コップ」でもありますが、
売ろうとすれば「商品」
花をさしたら「花瓶」
捨てるときは「ゴミ」
そしてもともとは「土」
となります。
モノは一つしかないのですが、役割や状況が変わるとコップにもなるしゴミにもなる。
つまり、「コップ」というものはまわりが作り出したフィクションである。ということです。
同じように家族や会社や国でさえもまわりがそうだと決めたフィクションです。
そしてこの世のものが幻、フィクションだとすれば、それぞれに境界線のようなものは存在せず、すべてつながっているという考え方なのだそうです。
このつながっているということを「縁起」といいます。
ブッダの【無我】につながってくるのですが、この世はフィクションなので自分でさえもフィクション。自分という決まった存在はいないということなんです。
強い⇔弱い、善い⇔悪い、ある⇔ない。
これらは全部フィクションでなにかの比較でしかないし常に変わり続けるのです。
だから自分が強い弱いとか、自分が善い悪いとか、才能があるないとか、関係ないのです。
『空』の概念は人の悩みがなくなってラクになります。
龍樹の『空』・・・この世はすべてフィクション。人間が「言葉」や「境界線」や「常識」というものを決めたに過ぎない。
『感想』

【東洋哲学】についてなにも知らなかった私の東洋哲学のイメージは、
「本が分厚くてすごく難しそう。」という感じでした。
しかし本書を読むと東洋哲学がとても分かりやすく説明されています。
東洋哲学の良さというよりも、
著者のしんめいPさんの書き方がとても面白い。
300ページを超える本なのでそこそこ分厚い本ですが、まるでマンガを読んでいるような感覚ですらすら読めてしまうんです。
途中でクスッと笑ってしまう場面が何回もありました。
生きていると、どこかで立ち止まって考え込むことってありますよね?
「自分ってどんな人間なんだろう?」
とか
「なかなか人生がうまくいかない…。」
このように悩んでいる人が東洋哲学という分野にたどり着くのかなと思いますが、
「とりあえず東洋哲学って難しそう。」
って感じてしまいます。
でも東洋哲学に手を出しにくい人にとってはまさにピッタリの1冊です。
『まとめ』
「自分とか、ないから。」をご紹介しました。
東洋哲学をかなりポップに分かりやすくまとめた1冊なので、東洋哲学ってなんだか難しそうと思っている方でも読みやすいし、なんなら東洋哲学に興味ないって人でもコミカルなマンガを読んでいるような感覚で読み進めることができると思います。
気になる方はぜひ実際に本書を読んでみてください。
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